マンション老朽化が招く“静かな危機”

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マンション老朽化が招く“静かな危機”

日本のインフラと集合住宅が抱える課題と、今すぐ始めるべき対策

神奈川県横須賀市で、老朽化した水道管の取り替え作業中に水があふれ、道路が冠水するというニュースがありました。

これは“インフラ老朽化”という、日本全体が抱える深刻な課題の一端に過ぎません。

老朽化は単に「時間が経ったから起こる」というものではなく、人口減少・人材不足・技術者不足・維持管理の遅れ が複雑に絡み合って進行します。

そしてこの問題は、道路や橋だけでなく、私たちの生活の場であるマンションなどの集合住宅でも同じように進んでいます。

本記事では、インフラ老朽化の本質と、マンション老朽化の現状、そして建物の寿命を延ばすための具体的な対応策についてまとめます。

インフラ老朽化は、技術者不足とセットで深刻化する

建設業界では人材不足が深刻で、外国人材の入職を含めても2023年までに約3万人の減少が見込まれています。

その一方で、インフラ維持のために必要な人材は2023年までに約21万人。
数字だけ見ても圧倒的に足りていない状況です。

さらに問題なのは、見えない劣化を発見できる“熟練技術者”が不足していること。

• ひび割れや腐食が内部で進行している
• 防水層の劣化が目視では分からない
• 小さな異常が大事故の前兆である

こうした兆候を見抜くには、経験と高度な知識が必要です。

人材不足 × 技術者不足
=老朽化に対応できず事故のリスクが増大

この構造は、インフラだけでなくマンションにも共通しています。

マンション老朽化は“築30年”から一気に表面化する

マンションの法定耐用年数は47年ですが、
適切に維持管理を行えば100年以上使えるとされています。

しかし現実は…

• 築30年を過ぎると外壁・配管・防水・設備の劣化が加速
• 小さなひび割れや剥離が雨漏りの原因に
• 配管劣化による漏水事故が急増

国土交通省によれば、築40年を超えるマンションは
• 2018年:81.4万戸
• 2028年:197.8万戸
• 2038年:366.8万戸

と 爆発的に増加していきます。

日本のマンションはすでに“老朽化の波”に突入しているのです。

老朽化マンションで最も多いトラブルは「漏水・雨漏り」

マンションのトラブルの40%は漏水・雨漏りが占めています。

(国交省「令和5年度マンション総合調査」)

 

▼老朽化が引き起こす主な不具合

• コンクリートのひび割れから雨水が浸入
• 防水層の剥離による漏水
• 配管の腐食による水漏れ
• 鉄筋爆裂(鉄筋の錆が膨張 → コンクリートが剥落)
• タイルの浮き・剥落による落下事故

 

特に恐ろしいのは 高所からの剥落事故。
外壁タイルやコンクリート片が歩行者・車両へ落ちれば重大事故につながります。

特定建築物は「法定点検」が義務。怠ればリスクは倍増

多くの人が利用する事務所・学校・病院・旅館などは「特定建築物」に分類され、以下の点検が義務付けられています。

● 建築基準法12条点検
• 特定建築物定期調査(3年に1回)
• 建築設備定期検査(1年に1回)
• 防火設備定期検査(1年に1回)
• 昇降機定期検査(1年に1回)

● 消防法点検
• 消防設備点検(半年・1年)
• 防火・防災管理点検(1年)

 

これらは 建物の安全を守る最後の砦 です。

 

修繕・改良・改修の違いを理解することが寿命延命の第一歩

● 修繕

壊れたものを“元に戻す”
(例)外壁ひび割れ補修、配管交換、タイル張り替え

● 改良

機能をグレードアップする
(例)手動ドアを自動ドアへ変更

● 改修

修繕+改良で建物性能を底上げ
(例)エレベーター設置、スロープ新設など

老朽化したマンションは、
修繕 → 改修 → 必要に応じて改良
という流れで段階的に寿命を延ばすことが重要です。

 

結論:老朽化問題は「管理 × 点検 × 修繕 × 改修 × 改良」の継続がすべて

近年は国内外で大規模火災や自然災害が頻発しています。

建物の安全を守り、災害による二次被害を防ぐためには、法令点検の実施だけでは不十分 です。

必要なのは、

◎ 管理

◎ 点検

◎ 計画修繕

◎ 時代に応じた改良

◎ マニュアル化

◎ 自主管理体制の整備

この一連のサイクルを仕組み化し、継続していくこと。

 

チームビーエムのスタンス

私たちは、建物の寿命を延ばし、
人の安全と価値を守るために、
• 消防法点検
• 建築基準法12条点検
• 建物調査
• マンション設備点検
• 修繕・改修の提案

マトリックス型チームで、こうした複合サービスを提供しています。

老朽化は“静かに進む危機”です。
しかし、適切なメンテナンスと仕組み化で、マンションは100年以上使えます。

建物の寿命を延ばし、そこに暮らす人の未来を守る。
これが、私たちチームビーエムの使命です。

チームビーエムにご相談ください!

株式会社チームビーエム/ビーエム防災は建物総合クリニックとして、防災・点検・維持管理を通じて“安全で選ばれる建物管理”を支援しています。